要介護者に必要な薬を飲んでもらうように促す服薬介助は、介護職の重要な仕事のひとつです。しかし、その服薬介助の仕事にもトラブルが見られ、そのなかには薬の取り違えがあります。薬は名称や形状が似ている物が多いため、他の人の薬と間違えてしまう可能性は否定できません。
他には、介護職員が要介護者に直接薬を飲ませる行為が見られることもあります。介護職員ができることは要介護者自身が薬を飲むのを見守ることであり、薬を飲ませること自体は医療関係者にしかできない行為です。
しかし介護施設の多くは慢性的な人手不足であり、服薬のためだけに医療関係者を招くのは現実的ではありません。そのため、誤った行為であることを承知していながら服薬介助の定義から逸脱した仕事を行っている介護施設が稀に存在します。
服薬介助の現状として、誤った飲み方の放置や見守りの不備があります。薬は本来、水かぬるま湯で飲むものですが、要介護者が望んでいるという理由でお茶やジュースで飲ませるケースもあるようです。薬によっては、薬に含まれる成分が変質してしまい、健康被害が生じるケースもあります。また、服薬介助でありながらきちんと薬を飲んだことを確認しないという問題もあります。
飲んだふりをして後で薬を捨ててしまう要介護者がいますが、そのような行為を防ぐことも服薬介助の目的です。単に要介護者を見るだけではなく、薬を飲んだ後は口の中を確認したり、手の中や衣類のポケットを調べることも介護職員の重要な仕事です。